問題のある法律事務所を見分けることは、できます。
以下に書くことは、当職が弁護士の業務広告を10年以上見続けた結果としての経験則に基づくものであり、理屈ではありません。
法律事務所のウェブサイトを見て…
・人の顔が出ているのに、弁護士の顔は出ていない。
法律事務所では弁護士の顔を出すべき、ということはありません。
しかし、誰かの顔を出すなら、弁護士の顔が最優先のはず。
フリー素材でも何でもいいですが、誰かの顔が出ているのに弁護士の顔はどのページにも載っていない。
お婆さんが笑顔でお孫さんをあやしている画像は微笑ましいですが、そのお婆さんは弁護士ではないでしょう。
こういうウェブサイトからは、非弁により乗っ取られている可能性が感じられます。
・やたらと経験豊富とか精通とか謳っているのに、弁護士登録年が載っていない。
弁護士登録年を載せなければならない、ということはありません。
しかし、経験が浅いのにそれを伏せて経験豊富を謳うのは、どうでしょうか。
そういう弁護士は、経験則として、良い処理はしません。
・案件処理件数が何千件とか何万件とかいった、膨大な数である。
嘘です。
嘘でないなら、大量定型処理で事務員任せで杜撰にやっているのです。
大規模事務所で、全案件を全弁護士が共同受任して名前だけ処理に参加し、処理数を稼ぐというパターンもあります。
電話がかかってきて事務員が出て終わっただけのものを処理件数1件とカウントするパターンもあります。
一人の弁護士が処理できる案件の数には限界があります。その事務所には何人の弁護士が所属していますか?その弁護士は1件あたり何時間で終わらせている計算になるのでしょうか?
いずれにせよ、良い処理は期待できません。
・「相続専門ウェブサイト」「債務整理専門ウェブサイト」「交通事故専門ウェブサイト」等の、「独立した」ウェブサイトが複数存在する。
弁護士は一つの事務所にしか所属できません。
当職は、インターネット上で法律事務所のウェブサイトも、一つの事務所は一つであるべきと考えます。
ウェブサイトを案件ごとに開設すること自体は必ずしも問題ではないでしょう。
ただし、それらが「本体」である事務所のウェブサイトの下位ページであるか、せめて相互リンクしているべきです。
独立したウェブサイトとするのは、それぞれ「専門」すなわち「それしかやってない」「それ一筋です」と思わせようとしているのです。
そのような姑息な手段を用いる弁護士が、良い処理をするとは思えません。
・「相続相談センター」とか「交通事故相談センター」という名前のウェブサイトやウェブページを開設している
これは日弁連の広告指針に抵触することでもあります。
センターという言葉で、公的機関のように思わせようとしているのです。
このような欺瞞を用いる弁護士が、良い処理をすることはありません。
・「必ず回収します」と書いてある
これは広告指針に抵触することでもあります。
弁護士の取り扱う案件に100%はありません。
そのため、このような断言はしてはならないことになっています。
それなのに、こう書く。
誠実な弁護士とは思えません。
・連絡先電話番号が0120である
法律事務所の電話番号は弁護士会(日弁連)に登録しています。
それなのに、それと異なる0120番号。
その番号は本当に弁護士に繋がるのでしょうか。保証がありません。コールセンターと事務員だけ、というにおいがします。
問題ない事務所もあるでしょうが、当職は、経験則として、あまり良い弁護士像が浮かびません。
非弁に乗っ取られている事務所の常套手段でもあるからです。
また、実在の弁護士名を騙る詐欺の事案も実際に発生しています。日弁連に登録してある電話番号とは違う電話番号には、そういう危険性もあるのです。
・「○○ 弁護士」で検索したら上位でヒットする。
これ、「それを言ったらオシマイ」なのですが、弁護士の間では共通認識だと、当職は認識しています。
その分野の実力がないから、SEO対策だけは業者にやってもらったりキーワードを買ったりするのです。
「○○」には困り事が入ります。それも、「離婚」とか「相続」とかいった一般的な用語よりも、「ロト6詐欺」とかいった具体的な用語のほうが危険度は高いと思います。
また、単なる検索上位にとどまらず、広告としての別枠表示の場合はもっと危険度が高くなると思います。
「ハズレ弁護士」の判別方法の「正答率」ナンバーワンかもしれません。